第十四回天神寄席 (2004.6.12.)


今回は「旅行日記」で開口一番。開口一番というのはいつやっても緊張します。
 ここである程度お客様の笑いをいただかないと、あとの仲間が雰囲気が重い中ずっとやらなくてはいけないので責任重大。
 でも、天神寄席のお客様は本当にいいお客様なのです。我々のような天狗連の落語でも「笑おう」と思って来て下さる。プロの世界ではよく笑うお客様を「アマ金」と言うそうですが、アマチュアの世界では「アマ金」は大歓迎!
 「噺下手、笑い上戸に助けられ」とはよく言ったもので、お客様に助けられて高座が務められる部分はかなりあります。
 逆にだから、「名人」になった気もするのかも。「天狗連」とはよく言ったものです。

「旅行日記」は短くて笑いの多いおいしいネタ。
 お客様のリクエストで出囃子を「勧進帳」にしてもらったので、マクラも高麗屋の勧進帳からふりました。歌舞伎の台詞から英語、英語から旅行とまくらを振ったのですが、やはりマクラは難しい。きちんと頭で整理してから臨まないとすべってしまうんです。プロの高座でマクラからすうっと本題に入った高座を見たりすると感動してしまう。やっぱりプロはすごい。

一、「旅行日記」酔書

一、「野崎詣り」勘タン

一、「どどいつ親子」勘也

一、「愛宕山」直角



メモのメモ(編集室からの補足) ※補足文は敬称略
旅行日記  二人の男が田舎のボロ宿に泊まりに来る。一人の男は今回が3度目だという。
 ボロの部屋であきれる連れの男に、男はここは料理がうまく、初回は鳥なべ、2回目は豚なべをごちそうされ気に入ったと自慢する。
 ところが挨拶に来た主人は二人を駐在所から手配の強盗二人組とうたぐる。
 男は鳥なべを以前ごちそうになった者で怪しい者ではないと話すが、その話しに主人は驚く。主人が言うにはあの時の鳥は患っていた鶏で仕方なくだしたものだとか!男が豚なべを問いただすと、主人は因縁の恐ろしさに驚く。なんとその時の豚も流行り病で死んだ豚だったのだ!強盗ではないと安心して立ち去る主人を見送るとたん
に男は気分が悪くなる。
 そこで連れの男は叫ぶ、
「おい、しっかりしろ!お前がわずらってみろ、今日はお前が鍋になっちまう!」


 あらすじ;粗忽家酔書
開口一番  まぁ開口一番は開口一番。寄席・落語会が始まって一番最初のあがりのこと。
天神寄席  福岡国際ホールが主催し、内浜落語会が月一回出演する定例の落語会。
 様々な情報が集まる街で落語というジャンルが存在することを継続して示す活動は極めて価値あり。
内浜落語会
天狗連  広辞苑では「自らその道の達人とうぬぼれている連中」とある。この場合、素人落語家のこと総称して指している。
アマ金  金ちゃんというのは「客」の符丁。「アマ金(甘金)」くだらないくすぐりでも、すぐに笑う客のことを指す。
くすぐり  いわゆる「ギャグ」のこと。
勧進帳 出囃子のひとつ。長唄「勧進帳」の「寄席の合方」と呼ばれる部分を呼ぶ。
三笑亭夢楽師・七代目蝶花楼馬楽の出囃子。
歌舞伎「勧進帳」では、義経一行が登場する場面に流れる。
高麗屋  歌舞伎役者の屋号のひとつ。松本幸四郎などの屋号がそれ。
野崎詣り  野崎詣りの馬の合う二人、一方のせいやんに喧嘩の台詞を教えて貰い、堤を歩く者に喧嘩をしかけるが、ろくに台詞がいえず逆にやりこめられてしまうという噺。
野崎詣り 「哄笑亭in北九州」より
どどいつ親子  都々逸を愛好している父と息子が都々逸の語り比べをし、一本とられるという噺。
都々逸坊や 「哄笑亭in北九州」より
勘也  内浜落語会会員。
内浜落語会
愛宕山  旦那のお供で愛宕山にやって来た幇間の一八、旦那が土器(かわらけ)投げの要領で投げた小判を取りに、野立ての傘ひとつで崖下に取りに行く(突き落とされる)というはなし。
愛宕山 「哄笑亭in北九州」より
直角  内浜落語会会員。同会創設メンバーの一人。
内浜落語会
参考資料
「広辞苑 第五版」(新村出編、岩波書店)
「新版現代落語事典」(古典芸能研究会編 光風社選書)
「寄席囃子のいろいろ」(キングレコード「決定版 寄席ばやし」解説 倉田善弘・三遊亭円歌)

内浜落語会
哄笑亭in北九州


「会長の部屋」トップページに戻る
「会長の楽屋」トップページに戻る

ホームページへ
ホームページに戻る

うぐいす通信

発行;
発行責任者;
素材はさんからお借りしました
Copyright (C) 2003-4 . All Rights Reserved.



100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!